DIARY

パラダイス銀河

#083

晴れている。洗濯をした。ベランダから、スクールゾーンと書かれた坂が見える。朝は小学生、夜は大学生の笑い声が聞こてくる坂。タバコを吸って真上を見ても太陽が眩しくないのは昼を過ぎているからだ。午前中だとこの位置から見上げれば眩しい。坂を登る人。お徳用サイズのトイレットペーパーが彼女の足取りを重くしている。マラソンをする夢を見た。誰も見ていないところでショートカットをした。

今日はいい日だと思う。街が鮮やかになっている。僕は何もしていないのに、景色が勝手に綺麗になっている。そういうのが好きだ。僕は何もしていないのに勝手に何かが始まろうとしているような。このままずっと昼でいいと昼には思うし、このまま朝が来なければいいと夜になると思う。何もかもがこのままでいい。このままであってほしい。

難しい顔。牛乳を選ぶ。タバコを選ぶ。ベッドに入る。難しい顔をして部屋を片付ける。ゴミの日を逃してしまった。

#082

燃焼剤が吸わないままのタバコを短くしていくように、残された時間は手につけられることなく終わっていく。何もかもが正当な理由を持ってそこにあるように見える。ギターケース、観葉植物、コーヒー豆、空瓶。生活の意図は、ペーパーナイフにあらかじめ意味が与えられているように潔く理解することはできない。時間が横たわっているなどと言ってみる。正しい消費の仕方を学びたいと思って生きて、それが取るに足らないものになり、それでもあらゆる、意味の与えられたアレコレと共存している。しかし共犯にはなれない。手に馴染むスマートフォンも、アイロンのかかったシャツも、少し硬くなったソファーも、結局皮膚の内側に届かないあれこれのままだ。雨が上がって少し湿った道路を歩く。水たまりに映る電柱。聞こえてくる笑い声。僕の幸福は、充実や眩しい生の意味の中にはない。荒涼とした場所、何も育たないところでのみ呼吸することを良しとしたロジック。自壊して、それでも他を認めない5歳児のようなロジック。人間を人間と呼ぶのは人間だけで、僕を僕と呼ぶのも僕だけ。だからなんだ。同じことを別の言葉で繰り返すこともできなくなり、よく知る退屈だけが残る。どこかへ行ってしまった陶酔を他人の表情の中に見出す。

#081

死ぬまでのわからない時間を埋めるに値する作業とか生活とか、そんなものもう見つからない気がしている。死ぬのもなんか勿体無い。痛いのとかはすごく嫌だ。酒の席で初めてあった人たち。僕だけが生きていない。よく笑ったりする。話をずっと聞いているけれど、何もわからなくなって、何も話すこともない僕は電話をするふりをして店をでる。間違った方法で人生にがっかりしてるという気配もどうでもよくなって、空っぽなまま毎日が忙しい。朝起きて顔も洗わないといけないし、歯も磨かないと、飯も食わないといけない。生活は難しい。死に向かって、同時に退屈を満たしている生活のあれこれが欺瞞に映らなくなる日は多分こない。僕はそんな自分を認めたりしないだろう。絶望はもう楽しくない。ただわからない。文字は頭に入ってこない。部屋に物は増えない。

#080

久しぶりに古本でも買いに行こうと思い街まで。天井高くまで積み重なっていた。シオランの思想の黄昏があった。タイトルだけ知っていた。シオランはずっと読んでいた。ある時点から、その主張がただくどいとしか思えなくなり読むのをやめた。しかし僕が彼の提起する、ある意味では”本当の”問題を乗り越えたということではなく、グロテスクな問いかけに僕は楽しさを見出せなくなっただけなのだ。あらゆる問題。解決したいところは同じ。哲学がすっかり面白く無くなったのは、解決したのではなく単純に飽きたのだと感じてなんだかバカバカしくなった。哲学には忘却があらかじめ用意されている。他のあれこれは忘却を探している。そんなふう。

#079

恋をすると人は凡庸になると行った主人公。憲法改正。谷川俊太郎。

様々な字体。他人の自意識。中央線。知らない曲ばかりのレコードの棚。トマトジュースとウォッカ。タバコ。未成年。エスカレーター。渋谷。脚

日付が変わる頃まで空いている喫茶店は、私鉄だけが通るここでは少ない。全然顔が良くない女店主が無愛想に席に案内した。アイスコーヒーを頼んだ。タバコが吸いたかったけれど灰皿がなかったので吸わなかった。喫茶店に訪れた人が書くノートにはタバコとコーヒーが良く合うと書いてありそこで吸ってよかったのだと知った。アイスコーヒーは空になっていた。寂しいから渋谷まで行こうかと思った。人がいるところにいけば別の寂しさがやってきて、僕はそちらの方が好きだ。インターネットで絨毯を買った。僕の境界線から外側が世界の全てで、僕はそちら側にはついにはいけず、永遠に皮膚の内側だけで完結し続ける。事が起こっているのは外側、街の灯のその奥なのに、僕は少し柔らかい気味の悪い境界線から出る方法を知らない。フロアで踊る全員も、僕にとっては世界そのもの、彼らにとっては内に続く孤独。

内臓と脳みそ取り出して骨を砕いても見つからない宇宙

 

#078

It's supposed to be significant change for them. Everything we do and will do in life may be far from our ideal as we dreamed in childhood. Those fake depression's structured and be interpreted as truth in the society which confuse a few romantists in a weird way. Chances we can controll are already gone yet nobody going to realize it's already lost since we're still chasing a mirage of ideal aspects of existence. Nothing we do, everything will pass without any recognition just the way as it's being done.