DIARY

パラダイス銀河

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

#076

”人間理性の無力を口実にして、理性の問題をいわば回避するようなことをしなかった” 広義で表面的なもの。混乱。職業、生活、家の大きさ、土地、歴史、カーペットのブランド、香水の種類、あらゆるテクノロジーのメカニズム。電子レンジ、浮遊するLED、反応…

#075

大きな交差点。信号待ちをする母親の体から乗り出した赤ん坊と目があった。妙な気分になって僕は目をそらした。タバコ。5を3にした。喫茶店でたまに見る女性。ウェリントンの黒縁メガネ。八重歯。 友達。ジャズボーカルをやっている若い男は今時珍しい。僕…

#074

夜に閉め忘れたカーテン。窓から差し込む光はぼんやりとしていて、朝はすでに終わっていた。もう少しで届きそうな携帯電話に手を伸ばしたけれど届かなくて、手前に積んである本の一番上をとってパラパラとめくった。馴染みのない固有名詞がそこには並び、と…

#000 岩波文庫

「岩波岩波岩波〜」そう叫びながら本屋で無限の広がりを見せるコミック・雑誌コーナーを走り抜けていった少女の残り香が僕のコートを翻した。軽い足取りが嘘のように、岩波文庫の棚を見上げた少女の顔は固まったように表情を失って、それから一冊を手に取ろ…

#073

下北沢のマクドナルド。仕事でたまに会うバンドマンがテーブル席に一人で座っていた。こんにちはと言うとハッとした表情でこちらを見て笑った。雰囲気でやりたくないのに雰囲気で音楽をやってしまうと言うようなことを1時間ぐらい繰り返し言っていた。言葉…

#072

芸術大学の学生が開く個展、それから若い芸術家、ベテラン芸術家のギャラリーなどをここ2週間ぐらいで回った。若い世代が作った作品は、世界の、とりわけ人間の活動に対してシニカルで批判的な表現をしているものが多い。インストレーションでは意味が散ら…