「岩波岩波岩波〜」そう叫びながら本屋で無限の広がりを見せるコミック・雑誌コーナーを走り抜けていった少女の残り香が僕のコートを翻した。軽い足取りが嘘のように、岩波文庫の棚を見上げた少女の顔は固まったように表情を失って、それから一冊を手に取ろ…
下北沢のマクドナルド。仕事でたまに会うバンドマンがテーブル席に一人で座っていた。こんにちはと言うとハッとした表情でこちらを見て笑った。雰囲気でやりたくないのに雰囲気で音楽をやってしまうと言うようなことを1時間ぐらい繰り返し言っていた。言葉…
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