DIARY

パラダイス銀河

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

#015

晴れ。僕がいるところから雲は一つも見えない。 部屋の窓からは木漏れ日が落ちている 。 先のことばかりを考える。いつか訪れるはずの理想的な時間のために現在を耕しているという認識が僕を慰めたり、ゆるい幸せをちらつかせたりしている。お宝は今この現在…

#014

天気のいい日、木陰でタバコを吸う。 真っ白なコーヒーカップ。真っ黒なコーヒー。 背中が暖かくなってくる。風が影を揺らしている。 車を運転する。ブドウ畑がずっと続く。窓を開けて手を出しても大丈夫。ダイエットコーラの350mlが好きなのだけれど、昨…

#013

221Bという表札。僕はここに住んでいる。 例の名探偵が住んでいた部屋番号と同じなのだ。だからと言って何というわけではないけれど、一回生の時数学基礎で知り合ったイギリス人が部屋へ来た時にひどく喜んでいたので思い出した。ベイカーストリートには今や…

#012

ラッキーストライクを一箱もらった。 ラッキーにストライクするタイミングがこの先の未来に横たわっている、なんてことはない。現在を犠牲にしないことには能天気な希望的観測が最終的に僕を絞め殺すだろう。生活は難しい。 "The artist's job is not to suc…

#011

毎週土曜の午前中は、街の中心でファーマーズマーケットが開かれる。2週間ほど渋っていた雨雲がようやく動き出した。昼頃にはずいぶんと暖かくなってきたので上着を脱いだ。晴れると生活に色彩が戻るというか、彩度がぐんと高くなる感じがする。トマトが反…

#010

夢を見た。 弟の子供に懐かれる。僕はすごく眠たくて、なんども寝ようとするけどリビングが賑やかで眠れない。母親に「一緒に遊んであげなさいよ」と言われる。小さな子供がテレビにかじりついている。僕は「我が闘争」の下巻を読み聞かせている。ヒトラーの…

#009

日曜。四月。 やるべきことなんてないのに、そのはずなのに生活が僕を急かしている。秒針だとか空腹だとか、一日のシーン。僕は引っ張られたり追いかけたりしている。 しあわせが未来に保存されているわけでもないのに、時々それを削っているような気分にな…