DIARY

パラダイス銀河

#082

燃焼剤が吸わないままのタバコを短くしていくように、残された時間は手につけられることなく終わっていく。何もかもが正当な理由を持ってそこにあるように見える。ギターケース、観葉植物、コーヒー豆、空瓶。生活の意図は、ペーパーナイフにあらかじめ意味が与えられているように潔く理解することはできない。時間が横たわっているなどと言ってみる。正しい消費の仕方を学びたいと思って生きて、それが取るに足らないものになり、それでもあらゆる、意味の与えられたアレコレと共存している。しかし共犯にはなれない。手に馴染むスマートフォンも、アイロンのかかったシャツも、少し硬くなったソファーも、結局皮膚の内側に届かないあれこれのままだ。雨が上がって少し湿った道路を歩く。水たまりに映る電柱。聞こえてくる笑い声。僕の幸福は、充実や眩しい生の意味の中にはない。荒涼とした場所、何も育たないところでのみ呼吸することを良しとしたロジック。自壊して、それでも他を認めない5歳児のようなロジック。人間を人間と呼ぶのは人間だけで、僕を僕と呼ぶのも僕だけ。だからなんだ。同じことを別の言葉で繰り返すこともできなくなり、よく知る退屈だけが残る。どこかへ行ってしまった陶酔を他人の表情の中に見出す。