DIARY

パラダイス銀河

映画を一つ見終わった。ベランダに出ると正午は真白く、空はいつも通り青い。柵にもたれると熱くて耐えられなかった。室外機に吸ってタバコを吸った。ただぼんやりと、青い空と、とても暑い空気とに包まれながらタバコを吸ったシーンが、僕のこれまでの人生の中にはいくつもあった。カリフォルニアはもう少しカラッとしている。アパートを出ると、手入れの行き届いていない駐車場で、地べたに座り込んだ。空はずっと高く、そこでも、とても暑い空気が体を覆っていた。コカコーラとかをよく飲んでいた。神戸の夏、坂道を降って汗が気持ち悪くなって喫茶店に逃げ込んだ。薄暗くて涼しくて、ジャズがかかっていた。タバコは吸えない。

部屋に入ると、部屋の角が自分の体の中へと入り込んでいくような感覚が突然やって来た。囚人は柵の中でも有限に自由で、その自由は無限だと考えたり。立方体の部屋が、四肢の末端の器官となって孤独を教えてくれる。青い空と暑い空気を浴びていると、どこか高いところにでも登って街を一望したいと思った。グーグルで「東京 自然」と調べているうちにどうでもよくなってしまった。街の隅でぼんやり空気に触れることを考えたりした。強制的なものは何もない。陽の光ではっきりとした僕の肌は、久しぶりに見たような気がした。体がここにあって、僕がそれを見ていて、ここに僕がいる。