DIARY

パラダイス銀河

#049

それはいわば降伏の証なのだ。僕は白旗を振りながら景色を見ている。

虫の息程度に僕の中で理解への欲は流れている。確かにまだある。しかしもうそれに固執したりすることはない。僕はそれを数ある一つのファンクションとして、ただ受け入れている。生殖を諦めてもなお絶頂を繰り返す装置を見ている。そういう気持ち。

諦めるんだね、と友人たちはいう。しかし諦めではなくこれが個人的な怠惰なのだということを僕は知っている。あらゆる出来事の真相は二度と僕を奮い立たせたりしない。生活の原動力を見失って、習慣が体を飼い慣らしている。解釈はいらない。何事もこうなって、ああなる。とにかくそうなる。

この映画は多分もう少し終わらない。あらゆる感情の種類にラベルをつけてガラスの棚にしまいこむ自分がいる。今日もまた一つ、明日も、明後日も。生活はいろんな味がする。手触りのいい木箱、彼女が真っ白な歯を見せて笑う。アラームが遠くで鳴っている。何もわからない、そう言って全てを放り投げることを良しとするために、自分を説得するためにこうやってだらだらと書いていることくらいわかっている。

じっと見ている。やっぱり何もやってこない。静かに木の葉が揺れている。木漏れ日を避けるように野良猫が歩いている。ここには何もない。初めから。何も。