DIARY

パラダイス銀河

#051

二重スリット実験から量子テレポーテーションの話。薄気味悪い遠隔操作とかなんとか。まあよくわからない。この社会を実際に作っているのはこう言う人たちなので任せる。アカデミックにいる連中に任せて、テレポートの装置が日焼けマシンぐらいの大きさになって一回三百円とかになってから僕はそれについて考えてみるよと言った。

僕は旅をして、大恋愛をいくつか経験して、余った時間で科学雑誌で未来の可能性にちょっとだけ興奮するのがいいな。タイムスリップも宇宙の始まりもブラックホールも楽しいけれど、美味しい夕食とか好きな人と笑っている方が楽しい。まあどっちもできる。わからないことは怖いし数字もそんなに好きじゃないので僕はやっぱりいい。知りたいけどしんどそうだからやめておこう。写真を撮って、飛行機に乗って、ちょっとだけさびしいけれどこれでいい。何もわからないままほっておこう。ちょっとだけモヤモヤするけど仕方ない、僕はだらしない。宇宙に意味があっても、神様がいても、どこか遠い星に瞬間移動できても、どこにでも生活がある。死ぬまで生きないと。とにかく現実がとことん現実なので、野菜が値上がりしたことの方が今の僕には重要だ。