DIARY

パラダイス銀河

いつだって片付いている部屋に帰ると、精液の匂いが残っていた。僕はとんでもないことをしているのではないかという気持ちになった。何かとんでもないものをもてあそんでいる。コースターの上に100円玉が4枚並んでいて、これだ。僕の人生はこれだ、このために僕は生きているのだと、これが時間の正体だとなんとなく感じた。情報の中にだけ今はあるモチベーションの正体。全然減らない青く透明な香水。夏は赤色だと体は言っている。しかし頭は青だと言っている。言葉を知らない時でも、夏だけは夏だったと誰かが言っていたりしないだろうか。多分しない。孤独死のタクシードライバーの体液が、下の階まで染み込む。夏はそんな季節だ。

昔の恋人が、私たちは平成に生まれたのだから平成に死ぬべきなのと呟いた。メロンソーダが600円もするのはソフトクリームが乗っているせいなのか、平成のせいなのか。僕にはわからない。君はバカになっていない、わからなくなっていくことは進歩だと誰か偉い人に夢の中で言われたい。全てを肯定している歌詞が、全てを肯定するメロディーに乗って最後の夏を急かしている。今日が最後でも、最後の季節でも僕たちは何も変わらない。同じ1日を送る。それでよい、万歳。