DIARY

パラダイス銀河

#061

欲を満たすことが人生の代替物となって憂鬱から僕を遠ざけてくれることを期待してもそれはおとぎ話よりも地に足が付いていないたわごとなのだ。なんとなくぐったりしている精神に具体的な処方箋が効いた試しがない。あらゆる行為は途中で目的を失って、僕はなんとなく空間に漂っているだけになる。時間はいたずらに過ぎていったりはしない。この体の重さだけ説得力がある。

雨が降って、紅葉が地面に落ちてしまった。日差しを浴びて鮮やかだった昨日までの街路樹をもう見ることはない。次の冬は東京にいる。あったこともない人が夢に出てきて、その人が僕に渡した茶色の紙に書かれた言葉を見て嗚咽を漏らしたところで目が覚めた。涙は出ていなかった。

天井の小さなでこぼこが時折模様に見えたり見えなかったりしている。僕に見えるようにしか世界はそこにはなくて、僕が思うようにしか生活はそこにはない。