DIARY

パラダイス銀河

#005

水溜りがそこら中に。

昨日はたしかに雨が降っていた。景色のところどころが切り取られて地面に落ちている。

 

同じアパートに住む友人の引っ越しパーティがあった。4月から東海岸の大学院に行くらしい。同居人によると、1ヶ月前イエールから不合格通知を受け取った時、彼が実存に対して自主的なボイコットを敢行した噂は本当だったらしい。持ち物のほとんどを捨てて、何も食べず何も飲まず素っ裸で一週間近くを過ごしたそうだ。しかし僕たちは存在をボイコットすることなんてできない。何も食べなくても、何も着なくとも、そこには重さがあって、気味の悪い実存の気怠さみたいなものが生身の体に連続している。

2年前図書館からの帰り道彼が、もう死んでもいいよなって言ったことを覚えている。死ぬ前にうちで余ってるスペアリブを一緒に食べないかって僕は言った。死ぬにしてもエネルギーはいる。彼は部屋から山のように本を持ってきて、それを燃やして僕たちは肉を焼いた。僕もそのタイミングでほとんどの本を燃やしてしまった。ドイツ人哲学者の本ばかりだった。いい感じの皮肉が思いつきそうな状況だったけど、思いつかなかった。そのあと吐くまでマリファナクッキーを食べたら僕たちはなんとなく幸せになっていた。

 

やらなければいけないことができないのはどうしてだろう。今日は全然だめだ。何も考えられない。少しだけ楽しい気分になってしまったからだろうか。