DIARY

パラダイス銀河

#028

目の前のコップが目の前のコップであることにおいて混乱しないことと同じようには、僕の生活が僕の生活であるということで爽やかな一致感はやってこない。言語が正しく物事を記述しうる道具かを言葉によって議論することから一切の納得がやってこないように…

#027

もう少しで夜が明ける。寒い。 空港の椅子で寝るのはなかなかこたえる。軟体動物さながら体をくねらせて落ち着く場所を探したけれど結局ダメだった。ジーンズを床に引いて、圧縮袋に入った服を枕にして、空港の床で寝る。午前3時。フライトまでまだ5時間あ…

#026

アムトラックの列車に揺られながら遅すぎるインターネットの中をフラフラとしている。車窓から見える景色はここ2時間ほどずっと変わらない。時たま馬や牛が放牧されているのを見るくらいで、草木もなく砂漠の入り口にも似た殺伐とした風景がずっと続いている…

#025

嫌な夢を見たということしか覚えていない。嫌な夢を見た。右手が少し痺れている。 古本屋によってから、街の大きな本屋に行った。パエリアの作り方。スペイン料理の本を買った。大量の本が並んでいる。みんな黙ってはいられないのだ。 天気がいい。海が見え…

#024 Polka Dots and Moonbeams

Suddenly it's crossing in his presence, but it's gone as if naturally provided the fate toward disappearing. She could've understood if it was coming from somewhere she's familier with. Yes. Phenomena's flexibility counts on her interpreta…

#023

ロサンゼルスの空港はいつも混む。朝からだらだらしてしまって、ぎりぎりに家をでた。毎度同じ。僕は何をするにも初動が異常に遅い。生活に対する能動性が弱いのは、なんとなく今まで繋がっている習慣がよくないからだと思う。 国際線乗り場まで距離があるか…

#022

6月になって一週間が経った。 暑くなったり寒くなったり。ブラインダーを開けると朝っぱらから芝刈り機を動かしている男が見えた。うるさい。 大学の健康診断に行った。179センチ。伸びていた。最後に測ったのは高校生の時くらいで、確か175とかだった気が…

#021

誰かが「あなたは結局何がやりたいの」なんて聞くから僕はつい口を滑らせて、思っていることをちょっとだけ話してしまった。みんなの表情がみるみる変わっていくのを確認して、本当に思っていることなんて人に話すものじゃない、同じ轍は2度とは踏むまいと…

#020

もろもろの哲学は、いずれどこか遠くへ行ってしまう。 おだやかな絶望を見ている間だけ、生活にむしろ意味は宿る。 ホームレスバンドが地下鉄で演奏しているのはマイルスデイビスの"Four"という曲だった。僕はイヤホンを外してしばらく耳を傾けた。濁った和…

#019

音楽が耳障りで仕方がないけれど、体に力が入らないのは僕だけじゃないらしく誰も止めようとしない。流れるように過ぎていく街の景色が時間に追いつかず、抽象へと引きずられていくのを窓にもたれ掛かりながら眺めている。僕は夢を見ているのだ。 ブルックリ…

#018

一人の人間が死ぬ時、近い人間が死ぬ時、その人の表情やそこを覆う景色を 例えばその人がこぼした一字一句も全部、忘れないように書き留めたりする。僕はその人の痕跡を残そうとしている。 口角がだんだんと下がっていくのを見ている。目尻が細くなって、表…

#017

空のビール瓶を通って彼女の体まで、太陽の光が届いている。 明け方なのか、夕方なのか。青のカーテンが揺れている。 ずっと前にこぼした言葉が僕を通り抜けずに残っている。 「君は自分の中に溜まったものを切り売りしている。それはいつか底をつく。」 そ…

#016

いつの間にか考えることをやめる。やり尽くしたという感じではなくて、見失ったといったほうがいいし、初めから真っ当に考えられることなど無かったというべきかもしれない。とにかく、問いの螺旋から降りてしまった僕の世界には、ほとんど何も残っていない…

#015

晴れ。僕がいるところから雲は一つも見えない。 部屋の窓からは木漏れ日が落ちている 。 先のことばかりを考える。いつか訪れるはずの理想的な時間のために現在を耕しているという認識が僕を慰めたり、ゆるい幸せをちらつかせたりしている。お宝は今この現在…

#014

天気のいい日、木陰でタバコを吸う。 真っ白なコーヒーカップ。真っ黒なコーヒー。 背中が暖かくなってくる。風が影を揺らしている。 車を運転する。ブドウ畑がずっと続く。窓を開けて手を出しても大丈夫。ダイエットコーラの350mlが好きなのだけれど、昨…

#013

221Bという表札。僕はここに住んでいる。 例の名探偵が住んでいた部屋番号と同じなのだ。だからと言って何というわけではないけれど、一回生の時数学基礎で知り合ったイギリス人が部屋へ来た時にひどく喜んでいたので思い出した。ベイカーストリートには今や…

#012

ラッキーストライクを一箱もらった。 ラッキーにストライクするタイミングがこの先の未来に横たわっている、なんてことはない。現在を犠牲にしないことには能天気な希望的観測が最終的に僕を絞め殺すだろう。生活は難しい。 "The artist's job is not to suc…

#011

毎週土曜の午前中は、街の中心でファーマーズマーケットが開かれる。2週間ほど渋っていた雨雲がようやく動き出した。昼頃にはずいぶんと暖かくなってきたので上着を脱いだ。晴れると生活に色彩が戻るというか、彩度がぐんと高くなる感じがする。トマトが反…

#010

夢を見た。 弟の子供に懐かれる。僕はすごく眠たくて、なんども寝ようとするけどリビングが賑やかで眠れない。母親に「一緒に遊んであげなさいよ」と言われる。小さな子供がテレビにかじりついている。僕は「我が闘争」の下巻を読み聞かせている。ヒトラーの…

#009

日曜。四月。 やるべきことなんてないのに、そのはずなのに生活が僕を急かしている。秒針だとか空腹だとか、一日のシーン。僕は引っ張られたり追いかけたりしている。 しあわせが未来に保存されているわけでもないのに、時々それを削っているような気分にな…

#008

全部僕の勘違いかもしれない。 現代美術館。広い。静かだった。 芸術、他人の表現。つまらない風景画から存在を切り取れというのか、美しさ?ただ退屈なだけだった。どんな絵を見ても、写真を見ても、映像を見ても、音を聞いても、どれだけ奇抜な凹凸を目に…

#007

暖かい日。何回か上着を脱いだ。 6時過ぎに帰宅。キャンパスを歩いているとなんとなく夏っぽい匂いがした。まだ3月だぞ。 小さい頃は週末よく家族でどこかへ遊びに行って、晩御飯も外で食べて、帰りに温泉によったりしていた。帰り道、車の窓を開けると夜…

#006

のっぺりした一日。 あまり好きじゃない。違和感。生活がどこまでも続くような感じ。僕達はこの姿のまま永遠に生き続ける。日常は続いて、社会がそこにはあって、ゆるい倦怠感が流れ続ける。死が近付いたり遠のいたりする。近付いてくると、大事だったものは…

#005

水溜りがそこら中に。 昨日はたしかに雨が降っていた。景色のところどころが切り取られて地面に落ちている。 同じアパートに住む友人の引っ越しパーティがあった。4月から東海岸の大学院に行くらしい。同居人によると、1ヶ月前イエールから不合格通知を受…

#004

これは日記だ。だらだらとつまらないことを書いてしまうことがあっても多少は許されるはず。誠実になるための場所が欲しいなら自分だけのノートに綴ればいいのだけれど、僕にとってインターネットの公共性というのはある種のモチベーションになっているらし…

#003

余命宣告をされたとして、死刑執行を待っているとして、僕はこの生を再評価するだろうか。それは、事実ではなく、起こりうる未来として。これからの出来事に対しての現在。僕にとって目の前に横たわる現実は、未来への伏線にすぎないということ。今この瞬間…

#002

自分の才能。その最大公倍数を引き出せるような領域。そういう物理的なうごき。

#001

再開した。 色々と紙書いていてもなんだか整理できない。ので、繋がった文として留めたい。紙に文字を書く作業がまた億劫になってしまった。 生活を整えていくと、積み上がっていくような充実感が、薄い自己肯定と共にやってくる。たとえば、ルーティンを作…