DIARY

パラダイス銀河

時空間だけが僕たちが支払うことのできるもので、自身のプロパティと呼べるようなものは他には存在しない。あらゆる物事、複雑な様相もミクロなyes/noの重なり。 文化というのは生存スロットが各々にふりあてるゲートであり、出発の時点でスキャンが行われる…

憂鬱は軽やかに夜を乗り越えて、目を覚ますのをまつ。酩酊は人生の諸々の営みと同じように小細工でしかない。 抽象的に沈んでいく人間に具体的な軋轢が追加されると、重たいだけだった憂鬱は棘を持ち始める。抽象的な理由で人は死んだりしない。それらは弾丸…

美しいものは何も訴えかけてこない。それ以外の全ては、騒がしく、要求する。語りかけてくるものはいつだってそれ以外で、僕たちは叫び声から遠くに行かなければならない。美しいものは、所以を話し始めたりはしない。ただ静かに、そこにいる。何かを理解し…

形状記憶のマットレスに、僕の体の形。生活で失うものはない。得体の知れない連続がファントムペインとなりそこに横たわっている。 明晰夢を見ている人間。夢を見ている人間。見ない人間。

僕が心底腹正しいのは、僕がどこまでも正常だということだ。いささか我慢できないのは、どこまで言っても正気だということだ。狂うことができない。手足はガッチリと縛られている。もっとずっと若い頃に僕が死にそうになった言葉の羅列をまたなぞっている。…

人形町

人形町に行きました。6時半に待ち合わせで、目が覚めたら5時過ぎだった。起きることができたのも、着信が偶然5時にあったから、枕元に携帯があったからです。駅を降りて、信号を渡り、少し歩けば小さなカウンターのお店があり、そこが約束の場所でした。その…

駅の終わりから始まるスプロールに訪れるしじまのなかで、子供達の声がする。かくれんぼ。隣の部屋からはピアノの音が聞こえてくる。左手の練習。 この空っぽには内容がある。この空虚は満たされている。何も入っていない箱の中に何も入っていなければ、僕た…

「特別なことなどいらない」と原色をふんだんに使った何を宣伝しているのか定かではない広告がカクカクとしたフォントで訴えている。何が特別で何が特別でないかは、慣れ親しんだ時間に比例している。最初に触れた瞬間はあらゆるものが特別だったろうに。ぼ…

同じように始まって同じように終わった一日が、眠りにつく一瞬前に今までとは違う重さを帯びて、走馬灯となり、僕は夢の中にいるのか目が覚めているのかわからなくなった。窓から差す光が床まで届いている。黒い髪、痩せた頰、白いテーブルを通る。 角を曲が…

手首を切り血を流す人は生きている心地がするという。殴られて笑う人は、これで安心するという。痛みだけが肉体の輪郭を再確認させる。存在は痛みなしでは耐えられなくなってどこかへ行ってしまう。毎秒薄れていく実感が傷ついたからだと痛みで戻ってくる。…

冷蔵庫を開けて見ると何も入っていなかった。「何も」というのは文字どうり何も、氷一つも調味料も何もなく、中の照明は空の冷えた箱を照らしているだけだった。午前3時に家を出るときはドアをゆっくり閉めたり、丁寧に歩いたりする。スクールゾーンと書かれ…

うっすらと気分を悪くして街を歩く午前には、不感症の目線がある。誰だって孤独だ。誰だって虚ろだ。もう見れないかつての風景。髪を切ったことは死んだあと知らない誰かの口から聞いた。ポジティブな歌詞と、人生を肯定する夏のお祭りと、昔に死んだ友達と…

映画が見れない。5分もしないうちに他のことを考え始めて、生活がチカチカしてくる 本が読めない。最初のページが意味不明になって、同じところを繰り返している。次のページに行けない。また、生活がチカチカしてくる。 snsができない。スクロールする。情…

いつだって片付いている部屋に帰ると、精液の匂いが残っていた。僕はとんでもないことをしているのではないかという気持ちになった。何かとんでもないものをもてあそんでいる。コースターの上に100円玉が4枚並んでいて、これだ。僕の人生はこれだ、このため…

知人と安いご飯を食べていると、なぜこんなにも退屈なのかという話になった。色々理由は出てきた。死が遠くてとても近いなどと思春期みたいな所に責任転嫁が走り始めた頃合いに「見た目がアレだからじゃない」という話になった。よく考えると地味である。長…

夜でも朝でもない時間に名前が付いていない理由を、僕は随分と昔に考えたことがあるような気がする。誰も起きていないからなのでは、とふと思った。すっかり大人になって、夜が生活になり朝は夢の中でぷかぷかと浮かんでいる。夏が始まったと誰かが言ってい…

映画を一つ見終わった。ベランダに出ると正午は真白く、空はいつも通り青い。柵にもたれると熱くて耐えられなかった。室外機に吸ってタバコを吸った。ただぼんやりと、青い空と、とても暑い空気とに包まれながらタバコを吸ったシーンが、僕のこれまでの人生…

営業終了後の遊園地。 雨音が誰かの足音に聞こえて振り返りながら帰る。 梅雨時期。タバコ。 板チョコ。白い光。雲を通る太陽。不快感。 停滞。午後。重さ。退屈

#088

坂道を挟んだ向かい側に大きな煉瓦造りの家がある。夕方になるとピアノの音が聞こえてくる。同じフレーズを繰り返しては、戻ったり、進んだりする音楽に、僕は耳をいつも澄まして聴いている。ソファに寝転んでタバコを吸っていると、音楽が、過ぎ去った風景…

#087

最後の日は雨だろうか、晴れだろうか。曇りかもしれない。朝か、昼か、夜か。一人なのか、誰かがいるのか。ここなのか、あそこなのか。 最後の景色は記憶のどこかに既にある気がしている。覚えているはずのない産婦人科の病室の天井の模様や、母親と、窓から…

#086

死んだ人間に人は優しい。死は当人以外の全員にとって重要だ。ある人を失った時点でそれが起点になり、まつわる記憶はすべて曖昧な色合いで点滅し始める。 重たいドアを開けた時は確か雨だった。いつの間にか雨は止み、コンビニに傘を忘れたことを忘れた僕は…

#085

古いスピーカーから流れている全然知らない曲。ロングヘアはいきた証だとか、元素が旅をしているとか、そんなことを歌っている。動画サイトの履歴をスクロールした。3年も前まで遡ったけれど、同じ数曲が繰り返されているだけだった。他人に期待をしすぎてい…

#084

窓の外から少しずつ沈んでいく一日が見える。明るい町に繰り出そうと思って、明るい町に繰り出したら何が起こるだろうかをベッドの上で考えて、夢の中で、陽に照らされた明るい通りを歩いて、今日はもう終わるところまで来ている。理想の日々は今日を通り過…

#083

晴れている。洗濯をした。ベランダから、スクールゾーンと書かれた坂が見える。朝は小学生、夜は大学生の笑い声が聞こてくる坂。タバコを吸って真上を見ても太陽が眩しくないのは昼を過ぎているからだ。午前中だとこの位置から見上げれば眩しい。坂を登る人…

#082

燃焼剤が吸わないままのタバコを短くしていくように、残された時間は手につけられることなく終わっていく。何もかもが正当な理由を持ってそこにあるように見える。ギターケース、観葉植物、コーヒー豆、空瓶。生活の意図は、ペーパーナイフにあらかじめ意味…

#081

死ぬまでのわからない時間を埋めるに値する作業とか生活とか、そんなものもう見つからない気がしている。死ぬのもなんか勿体無い。痛いのとかはすごく嫌だ。酒の席で初めてあった人たち。僕だけが生きていない。よく笑ったりする。話をずっと聞いているけれ…

#080

久しぶりに古本でも買いに行こうと思い街まで。天井高くまで積み重なっていた。シオランの思想の黄昏があった。タイトルだけ知っていた。シオランはずっと読んでいた。ある時点から、その主張がただくどいとしか思えなくなり読むのをやめた。しかし僕が彼の…

#079

恋をすると人は凡庸になると行った主人公。憲法改正。谷川俊太郎。 様々な字体。他人の自意識。中央線。知らない曲ばかりのレコードの棚。トマトジュースとウォッカ。タバコ。未成年。エスカレーター。渋谷。脚 日付が変わる頃まで空いている喫茶店は、私鉄…

#276

But don't we at least mean something quite definite when we look at a colour and name our colour impression? it is as if we detached the colour impression from the object like a membrane (This ought to arouse our suspicions)

#078

It's supposed to be significant change for them. Everything we do and will do in life may be far from our ideal as we dreamed in childhood. Those fake depression's structured and be interpreted as truth in the society which confuse a few r…