DIARY

パラダイス銀河

#065

壁に並んだ空き瓶を眺めている。確かに僕は今に生きているのにまるで過去を見ているような気持ちでそれらを見ている。まだ過去になっていない現在を、失った優しい生活が目の前にあるかのように見ている。現在の形式が追憶に変わるそのつなぎ目に僕は生きて…

#064

長い時間をかけて穴の形を正確に描き出したからと言って、それは穴を埋めることとはまったく関係がなかったのだ。緻密に解析して小さな凹凸も見逃さずその穴を捉えても、そこに穴があることは変わらず、それを埋められない自分は何も変わっていない。絶望の…

#063

眠ってしまうには惜しい夜を過ごしている。特に何かが起こったと言うわけではない。まだ行ったこともない場所会ったこともない人々を愛おしく思ったりする。酔っ払ってはいない。古い本屋によった。ヘミングウェイの「移動祝祭日」を買った。ロストジェネレ…

#062

マフラーをぐるぐるに巻いた女子高生の影のシルエットがロシアの人形にしか見えなくなってきたところで電車が到着した。黄色い線の内側までおさがりくださいのアナウンスが妙に反響している。都会の駅には飛び込み防止のホームドアが設置されているので黄色…

#061

欲を満たすことが人生の代替物となって憂鬱から僕を遠ざけてくれることを期待してもそれはおとぎ話よりも地に足が付いていないたわごとなのだ。なんとなくぐったりしている精神に具体的な処方箋が効いた試しがない。あらゆる行為は途中で目的を失って、僕は…

#060

裏通りに散らばった水たまりが景色の所々を切り取っている。自動販売機まで傘をささずに歩いたら思いの外濡れてしまった。ダイエットコーラを2本買う。パッケージのデザインがオリジナルよりちょっとだけかっこいい。コーラを死ぬほど飲んでも死なない。コー…

#059

僕は人生を無だと信じることはできない。美とランダム。

#058

自殺の森で生まれた老人。曇った目をしている。 コメント欄に、イタリアより愛を込めてと書いてあった。 自殺の名所なるところで未だに自殺する人がいるのは、やはり寂しさからではないか。生者の僕たちは不気味に思うけれど、自殺をこれからしようとする人…

#057

ドラッグはやらない。でもやっている人をたくさん見る。 みんな生きるのが辛い。当たりまえのように辛い。みんな辛い。だからみんな頑張らなくてもいい。幸せなことは味わおうと思った瞬間には消えている。臓器に絡みつくような苦しみだけが後に残る。恍惚な…

#056

すごい大きさでイヤホンから音楽が流れているのに、聞こえてこないのは他のことを考えていたから。いいや、コンピューターの角を見つめたまま何も考えていない。 僕は、根本的な部分で何もしないこと、ただ絶望して朽ち果てていくことだけが正しい、その受け…

#055

マイアミに行った友達が悪魔にあったと言う。大丈夫何もかもうまくいくと繰り返し諭されたらしい。 軽快な足取りで坂を下りていく。雨が止んで、真っ赤な傘は差さずに済んだ。誕生日にいつも行くケーキ屋さんが開店の準備をしている。トランペットのメロディ…

#054

かっこいい出だしの言葉を昨日の夜思いついていた気がするのに全然思い出せない。 今の状況やら考えていることをだいたい一括りにしてくれるしてるような簡潔なセンテンスは、現状をさくさくっと整理して、僕を次の段階へ優しく流してくれたりする。 アジア…

#053

難しいことはない。生きてみる。顔を洗う。メガネが曇る。 ブラインダーを引っ張り上げると昼の真っ白い日差しが部屋に差し込む。パジャマのままコーヒーを淹れる。袖にちょっとつく。洗濯しないと。ソファーに座るけど冷たかったので立って飲む。貰い物の観…

#052

マリリンモンローのほくろとちょうど同じ位置にニキビができたけど一つも嬉しくない。僕は男だ。チャーミングもへったくれもない。生活リズムが逆転し始めたので色々考え始めることができるかもしれないと少しだけ期待している。 冷蔵庫の中身が空っぽになっ…

#000 こんにちは

いつもてきとうにぶちまけているこのブログだけれど、アクセスログが0ではないからある程度モチベーションを保つことができる。と言うわけでいつも来て頂いているみなさんありがとうございます。いやほんとに。 僕も結構みんなの記事読んでます。寂しさを紛…

#051

二重スリット実験から量子テレポーテーションの話。薄気味悪い遠隔操作とかなんとか。まあよくわからない。この社会を実際に作っているのはこう言う人たちなので任せる。アカデミックにいる連中に任せて、テレポートの装置が日焼けマシンぐらいの大きさにな…

#050

最近髪を染めたらしいけれど、前の真っ黒な髪がすごく似合っていたのでなんだか残念だった。しかし僕は今度黒に戻した時に明るい色のこの人を惜しんだりするのだ。どこかで必ず終わることは明らかで、それでも今この瞬間同じ時間を過ごすというのはどいうこ…

#000 何も知らない 

何か勘違いしている。 個人経営の喫茶店。古いジャズが流れている。古い友人と新しい友人。数人で話をした。話をするといつも周りの反応に違和感がある。細部まで専門的に、科学や学際的な知識をもってその上で結局は何もわからない的なことを言っているのだ…

#049

それはいわば降伏の証なのだ。僕は白旗を振りながら景色を見ている。 虫の息程度に僕の中で理解への欲は流れている。確かにまだある。しかしもうそれに固執したりすることはない。僕はそれを数ある一つのファンクションとして、ただ受け入れている。生殖を諦…

#048

何もかもをめちゃくちゃにしてしまいたいと言う衝動に襲われる。襲われている。人間関係も、社会的ななんとやら、知らない。腫れ物を触るように大事に人生を扱ってきたと思う。慎重に、間違った道を選ばないように後悔しないようにじっくり選んで決めていた…

#047

プラトニックなんてクソ食らえと朝の四時に叫びながらベッドに飛び込んだ。安いスプリングが軋む音が同情の悲鳴に聞こえる。僕はちゃんと話を聞いていた。日付が変わるちょうどその頃にノックもせずズカズカと入ってきた。 恋こそは他のいかなる世俗のものに…

#000 お家につくまでが、

久しぶりに遠出をした。 無数のジャンクションをくぐり抜け海まで。2005年あたりに流行った曲が車内で永遠とループしている。どうでもいい話などないし、大事な話もこの世にはないと思うのだけれど、それでもやっぱりどうでもいい話をした。チーズバーガーに…

#046

悪そのものなどというのは字面だけの話かもしれない。僕は生きている意味や物事や論説の整合性に全身全霊でシリアスになれるほど誠実ではないらしい。汚いものはできるだけ見たくない、弱い人間からは目を背けたい。矛盾しているようなものごとに関してはさ…

#045

今日は人生を進めるぞ!と思って掃除をして新しい服を着て外に出て、といい感じだったけど午後は人が来てセックスして終わった。全部どうでもよくなったりしてない。でもまた何にも進まなかった。シーツ変えてシャワー浴びて気がついたらまた日付が変わりか…

#044

3層の現実を感じる ある種のフォント、ある種の音楽。は一番表面的 ある種のフォント、ある種の景色は、その次。 長い時間かけて一つに触れていると、一番下にある層の現実が顔を出したりする。 ハイになるのはチーティング。

#043

ここではないどこかの風景を思い浮かべる。その場所ではなく、その場所にいる自分に憧れたりする。しかし僕の体が今あるこの場所よりは説得力はない。だからここしかない。なんて言ってみるのは気が狂っているだろうか。この場所こそが最善でここより良いと…

#000 Jazz

ジャズ。 牛や豚や鳥が焼かれて煮られて揚げられたりしている。通りは米と野菜でごった返している。変わった匂いがする。喉がキュッと締まるような匂いがする。汗をかいた大男が何人も横を通り過ぎていく。暑い。ほとんどが男。視線がものすごい速さで流れて…

#042

ミニチュアダックスに異常に懐かれたり、急に胸毛が生えてきたりした。 起きてすぐ胸元をのぞいて見たらさっぱり生えていなかった。部屋には僕しかいない。妙に片付いている感じ。 「君は目からわらった方がいいね、うん。顔上半分引きつってるんだよ。」お…

#041(2)

人生のどこかに死のピンが必ず打たれることを考える。死ぬこと自体が不可解なのではなく、死までのこのギャップの正体こそが僕を捉えていたものだと言えるかもしれない。死は言葉と言ってしまえばそうなのだが、脳みそが止まるまでの期間はそこにあって、脳…

#041

I ain't give a fuck anywayと呟いて僕の顔を思いっきり殴った6.4フィートに街で偶然合った。大学一年の冬僕がそいつの彼女と寝たことがバレてアパートまで殴り込みに来た。ドアを開けた瞬間この男が何をしに来たのか一瞬でわかった。弁解などする余地はなく…